2023年12/30から2024年1/3まで、澳門(マカオ)に行ってきました。
もともと海外旅行が趣味なのですが、コロナでしばらく封印されていたので4年ぶりになります。
澳門を選んだのは、年末年始の航空券高騰期にあって10万未満で行けること、
帰ってすぐ仕事だけど慣れてる場所なら消耗が少ないと思ったこと、
あとはビザが要らない中華圏の中でも一番好きな場所だったから。
澳門渡航はこれで4回目になります。観光するわけでもカジノで遊ぶわけでもなく、
前世紀の面影を残すレトロな生活感や、そこでしか食べられない美味しい物、
そういうものに触れに行く、ただそこで過ごすために行くような旅でした。
澳門ってこんな所
澳門ってどこ?何しに行くの?とよく聞かれるので。良い所なのにもったいない!
古今東西の町
場所は中国の南方、香港のお隣です。大航海時代にやってきたポルトガル人が明の皇帝から居住を認められ、1999年までポルトガルの植民地だった経緯があります。そんな澳門の一番好きな所・面白い所は、古今東西の色んなものが混ざり合っていること。日本でいうと長崎みたいなイメージですかね。
もともと大学で中国のキリスト教史を研究していたり、東南アジアとかスペインのアンダルシアが好きだったり、色んな文化が混在している所が好きなんです。
澳門はもともとポルトガルの植民地なので、街ではポルトガル語や南欧風のタイル、カラフルなコロニアル式の建物をよく見かける。
路地に入れば窓からせり出す洗濯物、赤い神棚、麻雀卓を囲む住人達など昔ながらの庶民の暮らしが息づいている。
かと思えばゴージャスで洗練されたカジノリゾートもあったりする(カジノも中華系と外資系でまた雰囲気が違って面白い)。
とにかく狭いエリアの中にいろんな顔を持っている所で、街歩きのたびに面白い風景が見つかって楽しいのです。
豊富なご当地グルメ
美味しいものもたくさんあります。
最近中国各地方の料理店や香港式茶餐庁がどんどん増えているとはいえ、「澳門のご当地グルメ」はなかなか日本では味わえない。
だから「あれ食べに行こう」が旅の動機になることもある。色んな所に行ったけど、実はそんな理由でリピートするのは澳門くらい。それだけ日本で色々食べられると言うことでもあるけど。
その最たるものがこの「金馬輪珈琲餅店」の「椒鹽骨炒麺」。野菜たっぷりの焼きそばに豪快にカットされたスペアリブとフライドガーリックがしこたま載っているガッツリごはん。
パイコー焼きそば自体は広東料理だからよそでも食べられるけど、この店のが好き!となるとそこまで行くしかないんですよ…。
あと、ポルトガル植民地だった経緯もあってかパンやお菓子がおいしい。町を歩けば新しめのパン屋チェーン店もあるし、何十年もやってる昔ながらの老舗パン屋さんもあって地元でもパン文化が親しまれているのが分かる。本土や香港に行くと朝は点心やおかゆを食べるけど、澳門ではやっぱりパン屋に行ってしまう。
大好きなのは豬扒包(ポークチョップバーガー)と菠蘿包(パイナップルパン)。
豬扒包はまさしくご当地グルメで、自分の知っている限り日本では食べられない。使ってるパンも澳門特有のパンなんですよ。
だから現地に行くとよく食べます。お店によって肉の大きさ、厚み、衣の有無、使ってるパンの種類などいろいろバリエーションがあるんです。
菠蘿包はサクサクのクッキー生地×ふわふわのパンが美味しいメロンパン的なパン。もともと香港のパンなので、今では日本でも香港系レストラン等で食べられるようになりましたね。日本だと何故かチャーシューが入ってることが多いけど。
現地だとバターを挟んだ「菠蘿油」が朝食の定番。あんこの入ったものやポークチョップを挟んだものなど、お店によっていろいろバリエーションがあります。あと香港澳門のミルクティー、紅茶が濃くて美味しいんですよね。どうやって出しているんだろう。
印象に残ったこと
さて、訪問4回目ともなると色々発見・ギャップもありました。今回の旅で印象に残ったことを簡単に書き留めていきます。
アクセス方法の変化
澳門に行く方法といえば、これまでは香港空港からの直通フェリーに乗るのが定番でした。
しかし2018年に香港と澳門、そして中国の珠海を結ぶ「港珠澳大橋」が出来たため、今では橋を利用したバスによる往来が主流になっています。(香港空港から澳門へのフェリーは現在1週間3便に大幅減便。香港市街地から澳門へのフェリーは変わらず沢山出ています)
少し不安でしたが、いくつもバスを乗り継いでいくのが面倒な以外はスムーズに移動できました。詳しくはこちらをお読みください。
xiaoyaoyou.hatenadiary.jp
治安の強化
今回澳門で過ごして一番感じた変化がこれですね。町のあちこちに監視カメラが設置されており、タクシーにも録画・録音機能が搭載されている。あとは街中でも、マナー喚起の張り紙や禁煙の標示が目立って中国本土やシンガポールみたいな感じになってた。
日本人には統制アレルギー・個人万能信仰があると思ってるので、こういうのに接すると「強制力による安全なんて…」となりがちだと思うんですが、まぁそのおかげで旅の間安心して過ごすことが出来たのは事実だし、現地の人もだから安全なんだよと言っていた。この辺についても色々考えた事感じたことあるので、まとめたい。
旅の利便性
前回の旅から間隔は開いてましたが、以前と同じような感覚で旅が出来ました。中国本土みたいに「ネット環境やアプリがないと何もできない」感じでもなく、便利だが外国人には参入しづらいツールが普及してガラパゴス化しているわけでもなく現金払いで問題ないし、流しのタクシーもつかまる。
ただ、日本でいうsuicaのような「澳門通(マカオパス)」の導入が交通機関は勿論小さな個人商店でも進んでいたので、よく行く人は持っていると便利(街中のスーパーやセブンイレブンで簡単に購入できる)。
Wi-Fiについては、四六時中スマホ使うタイプでもないし費用節約のため出来るだけレンタルしない主義なんですが、不便だったのは一部のお店でQRコード注文が導入されてた時くらいで、あとはホテルや公共施設のWi-Fiで事足りる感じ。
ただし旅の費用は安くなかったです。円安というだけでなく物価も上がってた。以前35元だったお気に入りのご飯が65元だった。食事は大体昔ながらの大衆食堂で取ったのですが、飲み物+ごはん一品で50パタカ=1000円前後はする。咖喱魚旦(カレーおでん)、酸辣粉(春雨入り酸辣湯)などの軽食でも7~800円はする。
エッグタルトは有名店だと10パタカ=200円くらい。町のベーカリーだと5パタカ=100円くらい。商店街のお菓子屋さんで地元のお菓子を買ったけど一袋17パタカ=340円なので安くはないな…。豪遊できる感じではない。
レートは1パタカ=1香港ドル=1人民元で各通貨がそのまま通用する感じです。金欠になった時人民元で切り抜けたこともあったのでこれはそれなりに助かった。
というかですね、ホテルに泊まる時500香港ドルのデポジットを取られるから生活費がごそっと削られるのが一番困った…交渉したらクレジットカードでも行けたのかな?
町の模様替え
古い建物はちらほらリノベーションされてました。一番びっくりしたのは観光地で有名な福隆新街(遊郭跡地がレストラン街になっている)の変化。
以前は赤い格子窓があでやかな中華情緒を醸し出していたのが、今回行ってみたら緑になっていた。
なぜ!と思って調べたら、本来は緑色で、1996年の植民地時代に修復した時に勝手に赤く塗っちゃったそうな。中国では遊郭を「青楼(青=緑。青リンゴの青です)」というので、確かに緑の方がふさわしいのかも?
観光地に近くて人の集まる所も色々雰囲気が変わっていました。より観光客向けになっていたというか、商業主義に呑み込まれたというか…。老舗の骨董屋や仏具屋が集まるお気に入りの通りが「オシャレなカフェスポット」になっていたのは参った。もう行かないだろうなここは…
こうなるとどこにでもあるような場所になっちゃうから、そこにしかないものがなくなってしまうのは切ない。
だから、観光地と日常生活の場がはっきり分かれているなと感じるし、自分の中ではそういう区別が出来たと思う。
今回は年末年始で人(観光客)が多かったので、そういう所は避けて、ひたすら市場や裏道を歩いたり、公園でバードウォッチングしたりしていました。
それぞれ、これからまた記事にしていきたいと思います。