壺中天

歴史、旅行、ごはん、ゲームなどアジアなことを色々つづります。

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概要とポリシーです。まずはご一読ください。

※2024年からブログ名を変更しました(旧ひとり水都部)。しばらく過去の旅行記メインに活動します。

【更新履歴】

24/08/09 【文化】死者の夏祭り:中元節の世界
24/08/01 【文化】土地神ずかん(東南アジア1)
24/07/31 【文化】土地神ずかん(マカオ4)
24/07/26 【文化】土地神ずかん(マカオ3)
24/07/20 【文化】土地神ずかん(マカオ2)

カテゴリ

旅行 / 水都(攻略)/ 水都(元ネタ歴史ネタ)

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【水都百景録】州府ガイド(6)応天府

概要

始まりの町、応天府こと南京。プレイヤーにもひときわ馴染み深いこの町は、古代には六朝南朝)の都、後世には明や中華民国の首都にも選ばれた中国有数の古都である。

街の歴史は2500年、そのうち都が置かれたのは約440年間であった。南京は今でも江蘇省省都として、江南の政治的な中心であり続けている。

南京は長江の河口を遡ること約300km、淮河との合流地点付近にある。水運で発展した江南の町にはそれぞれ縁の深い河があるが、南京を育んだのはこの秦淮河、プレイヤーが知府として最初に降り立つのもまた「秦淮里」である。

ゲームのマップは明代の南京を再現しているが、五代十国時代に城壁が拡張された影響で市内を流れる秦淮河は二つに枝分かれしている。上流(マップ右側)では一つの流れだったのが応天府の街に差し掛かるにあたって城内の内秦淮と城外の外秦淮に分かれ、また合流して長江にそそぐ形になっている。

応天府はゲームのチュートリアルステージでもあり、システムとの折り合いをつける必要性もあってか後から追加された街に比べるとレイアウトがかなりアレンジされており、実際の所在地とは異なる地名・名所も多い。

  • 概要
  • 応天府(南京)の成り立ち
    • 竜蟠虎踞の要害
    • 王気眠る丘【春秋戦国~漢】
    • 六朝の栄華【三国・南北朝
    • 鳳凰去りて【隋唐以降】
      • 詩人たちの見た金陵
      • 外秦淮と内秦淮
  • 朱家の物語~応天府から順天府へ
    • 乞食僧から玉座へ【明の建国】
    • 家相争いて【靖難の役】
  • 鶏鳴山と天文暦学
    • 鶏鳴山のあらまし
    • 時と帝国
    • 暦の変遷
  • 湯顕祖と牡丹亭
    • 遅咲きの芸術
    • 反骨の文士
    • 生死をかけた恋
  • 名勝案内
  • 地名案内
    • 秦淮里・鳳台里・烏衣里
    • 莫愁里・三山里・雨花里
    • 桃葉里・鐘山里・秣陵里
    • 太平里・雲錦里・閲江里
    • 横塘里・朱雀里・白馬里
    • 武里・朱楼里・鶏鳴里・長干里
    • 元嘉里・板橋里・栖霞里
  • 参考文献

バックナンバー
【水都百景録】州府ガイド(2)蘇州府 - 壺中天
【水都百景録】州府ガイド(4)杭州府 - 壺中天
【水都百景録】州府ガイド(5)松江府 - 壺中天
【水都百景録】州府ガイド(1)徽州府 - 壺中天
【水都百景録】州府ガイド(3)揚州府 - 壺中天
【注意書き】
本文中で月を表記する際、算用数字=西暦、漢数字=旧暦を指します。

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【2018】黄山旅行記2 憧れの仙境


なんと鶏の鳴く声で目が覚める。特に農家があるようにも見えなかったけど、ホテルで飼育してる(食用)のか?

今日は待望の黄山観光。色々あったが、無事にスケジュールをこなせそうで何よりだ。

時刻は6:00頃でまだ早い。ホテルで朝食を食べて町に繰り出した。散歩というより、ATMでお金をおろすためだった。ここで収入が得られなかったらかなり予定が狂うので、緊張しながら昨日見つけた銀行を目指す。

  • 屯渓にて
    • 屯渓ののどかな朝
    • 行李寄存
  • Road to 黄山
    • 屯渓~湯口
    • 湯口~雲谷ロープウェイ乗り場
    • 山上へ!
  • 黄山にて
    • 黄山のホテル事情
    • 清涼台と猴子観海
    • 排雲亭の夕日
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【リンバス】ワープ特急殺人事件 感想と考察


※過去作はプレイしていないので、あくまで原作・リンバス内描写に基づいた内容です。血鬼ってLoRから出ていたんですね。

今回はガッツリキャラの掘り下げが来て、特にファウストドンキホーテについては大きなどんでん返しがあった。

タイトルのパロディ元である『オリエント急行殺人事件』も含めてイベントモチーフは色々あると思うけど、その1つは「謝肉祭」(復活祭に備えた祭り)ではないかと思った。ファウストドンキホーテの「仮面」、カセッティの暴食と「王の仮装」、鏡屈折鉄道の「マスカレード」……などなど。

謝肉祭は仮面や仮装に象徴されるように、秩序と規則から自由になる無礼講の場。「別の顔」が現れるには相応しい場と言えるのだ。

ドン・キホーテ』がカーニバル文学()と言われること、ゲーテの『ファウスト』に謝肉祭が出てくること等、原作との関連性も結構ある。

※)ロシアの思想家バフチンの概念。上述した理由から、価値反転やパロディ的な要素を持つ文学を指す。

というわけで考察というか妄想寄りですが、考えたことを書きました。

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死者の夏祭り:中元節の世界

夏の祭りと言えば……やっぱり中元節である

中元節は鬼節()、盂蘭節、盂蘭盆会とも言われ、死者を供養する中華圏のお祭りだ。狭義の「中元節」は旧暦七月十五日(今年は8/18)となっているが、祭りの期間は七月いっぱい(8/4~9/2)。

中国では南北朝時代頃まで遡る由緒ある祭りだが、中国本土は毛沢東政権による伝統文化破壊の後遺症が残っているので、今では主に香港、シンガポールなどの南洋中華圏で体験することができる。

要するに日本でいう「お盆」のことで、死者の魂が帰ってくるという考え方も同じ。しかし中華圏の「お盆」は、精霊流しに迎え火送り火…のようなしめやかな和の雰囲気とはだいぶ異なる。(と思う)

中国の葬式は死者を楽しませるのが第一なので「吉事」として行う…とは以前も書いたが、中元節もその例に漏れない。この時期は街中に特設会場が設置されたりカラフルな紙製品が飾られたり街角で劇が上演されたり、町全体がお祭り会場のような、華やか且つ超現実的な雰囲気になるのだ。

本ブログでも何度か中国の葬式・死者関連の風習を取り上げてきたが、この中元節も本当に好きで好きで、毎年旧暦七月が近づくとソワソワし出するほど。

というわけで、本記事ではシンガポールやマレーシア、香港等での体験をもとに、中元節の魅力について紹介していきたい。あくまで自分の体験をもとに書いているので、地域や情報が偏っている点についてはご了承いただきたい。

※)中国語で「鬼」は幽霊のこと。英名もGhost Festivalという。
  • 簡単に中元節
  • 中元節の風景
    • 1.中元テント(仮称)
    • 2.供物台
    • 3.舞台
    • 4.面燃大士(大士爺)
    • 5.紙扎製品(仕送り品)
    • 6.普渡勝会の祭壇
  • 中元節の成り立ち
  • 中元節見聞記
  • 最後に
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【リンバス】時間殺人時間 感想と考察


ようやく6章を終えて、イベストクリアしたので。世界観とメインキャラの考察ですが、専門が中国だからホンルくらいしかまともに考察できないっていうね!後は感想レベルだけど許してください。

  • モチーフ
  • ロージャ(自己肯定感の低さ、英雄願望)
  • ホンル(価値観の不在、荘子、渾沌)
    • 渾沌と時間、鴻璐
    • 叔母さんと塩
    • 1000時間の意味
  • 良秀(ついに出てきた家族観)
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土地神ずかん【東南アジア1】


中国王朝による支配や華僑の活動等を通じて中国の影響を受けてきた東南アジア諸国にも、土地神信仰は息づいている。しかしそれは必ずしもオリジナルとは重ならず、現地独自の文化と習合し、それぞれの形へと進化を遂げている。

今回はそのうち渡航経験のあるベトナム、マレーシア、シンガポールで見かけた「土地神」信仰、その他現地ならではの民間信仰について整理した。

最初は土地神関連だけ書こうと思ったけど、面白いものが色々ありすぎて範囲を広げました。土地神信仰はタイにも根付いているらしいので、いつか行ってみたい。

前回:
xiaoyaoyou.hatenadiary.jp

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