マカオ旅行記はひと段落ついたので、過去の旅行記を形にしていきます。
コロナ前の話なので今は色々変わってるかと思ってますが、当時の様子をお楽しみいただければと思います。
去る2018年末、ネパール旅行に行ってきました。
本当はインドに行こうと思っていたところ心配性の家族の妨害に遭い、腹いせに(ちょっと似ている)ネパール行きを決めたのでした。
ネパール自体にも元々興味がありました。チベット旅行(2016)でヒマラヤの自然と文化が気に入っていたし、この頃ちょうど『天竺熱風録』という漫画にはまっていたし。
なので、これはこれでよし。
今回は私にしては珍しく、最初から最後まで個人旅行ではなく「西遊旅行」さんの「カトマンズ6日間フリーステイ」というプランを少しアレンジしていただき利用しました。空港~ホテル間の送迎だけガイドさんが付く形です。
日程は以下の通り。
26日 | 東京~バンコク~カトマンズ | ボダナート泊 |
27日 | ボダナート~カトマンズ | カトマンズ泊、以下同様 |
28日 | パシュパティナート、スワヤンブナート | |
29日 | パタン | |
30日 | カトマンズ~バンコク~東京 | |
31日 | 東京着 |
次回:【2018】ネパール旅行記2 ボダナートの夜 - 壺中天
激込みの羽田とバンコクへの道
飛行機は0:20発の深夜便で、22:10頃には羽田空港に行く。
年末とあって、なんだか浮かれモードの出発ロビー。
休暇シーズンにつき構内は混みあっており、特に親子連れが目立った。チェックインも荷物検査も長蛇の列で、出国審査にたどり着いた時にはすでに出発1時間前!
出国審査自体はスマート化されていて、機械でパスポートチェック・顔認証を行うのみだった。
カトマンズまではタイ航空のバンコク乗り継ぎ便を利用。飛行機の入り口をくぐると、早速CAのお兄さんが合掌してサワディーカ、と微笑んでくださる。うーん、タイだなぁ。
深夜便のため、飛行機に乗ったらあとは寝るだけ。
夢うつつの中で気が付くと日本時間の朝5:00頃。バンコク時間では3:00。機内の明かりが付き、朝食が配り始められた。
メニューはオムレツorチキンヌードル(たぶんパッタイ)。重くなさそうなオムレツにしたものの、経験上、機内食は航空会社のご当地料理が一番おいしい傾向にあるためちょっと後悔。
空港へは現地時間の4:30頃着。予定より30分ほど早いが、乗り継ぎの身としては早く着いてもあまり嬉しくない。
機内のアナウンスによれば気温は25度。外に出ると暖かかったが、早朝のためか意外と湿気は感じなかった。タイまでのお客さんには早々に薄着に替えている人も多く、がちがちに冬装備を着込んだ自分がなんだか滑稽に思えた。
スワンナプーム空港にて
白を基調としたガラス張りの通路を進み、トランスファーのカウンターへ。
表示に従って上階に上がり、チェックイン・荷物検査を経て出発ロビーに移動する。ロビーは早朝にもかかわらずお店は全開。日本の空港だと早朝深夜はお店が閉まってしまうので、これは本当にありがたい。
スワンナプーム空港の出発ロビー。広くて綺麗、かつエスニック風味が素敵。
乗り継ぎブランクは5時間くらいとかなり長い。お店は多いけど、いかんせんバーツがないし、ネパール前に荷物を増やすわけにもいかない。
仕方がないので朝食を食べたり、読書やマッサージで時間をつぶしていた。
レストランはスタバやバーガーキングのほか、中華っぽい食堂、あとは日本にもあるタイ料理レストランのmango treeなど色々。せっかくなので、mango treeで朝っぱらから春巻きとトムヤムクンを食べた。
空港内には各所にタイらしいモニュメントがある。これは乳海攪拌神話ですね。ヒンドゥー教の神話だけど、タイも神仏習合なんだろうか?もともとルーツは同じだし、神様も一部共有してるけど。
スワンナプーム空港はかなり広く、カトマンズ便の搭乗口へは20分くらい歩いたと思う。
カトマンズ便搭乗口。搭乗口が地下の場合、飛行機への移動はリムジンになるので少々げんなり。時間がかかるし、あの満員電車みたいな車内がつらくてね。
インドの大地とヒマラヤの雄姿
長い乗り継ぎ時間を経て、いよいよバンコクを飛び立つ。
カトマンズまでのフライトはわずか2時間半。席は後ろの方だったが、この辺りは空席も多く、3人掛けの座席のうち、座っているのは窓際の自分だけだった。
短いフライトだが機内食も出た。チキンかフィッシュということだったが、チキンを選んだらなんとカレー!
もちろんインドカレーで、付け合わせもライスではなくチャパティ。さすがインド文化圏、と妙にテンションが上がる。辛めのチキンカレーとジャガイモ・カリフラワーが入った甘めのカレーがとても美味しかった。
窓からの眺めもなかなか面白く、タイからミャンマーにかけてはずっと緑と茶色の平原。
インドシナ半島を抜けると、紺碧の水をたたえたベンガル湾にさしかかった。所謂リゾートの海という色合いで、意外な美しさに驚かされるも、よく考えればこの辺にはモルディブがあるもんな。
さらに西へ行くと、広大な北インドの大地が現れる。とにかく一面の土色で、緑は見えずあまり集落らしきものも見えない。時折大きな川が見えるのはガンジスだろうか。
そして、現れたるはヒマラヤ山脈!
その時飛行機の高度は4000m、エヴェレストの半分か…と思うと途方もない気分になる。
まともにヒマラヤを見たのは初めてだったので、すっかり舞い上がってしまい、そこからはずっと窓から景色を眺めていた。
飛行機は旋回し、ヒマラヤの方角目指して飛んでいく。手前に見える緩やかな稜線はマハーバーラタ山脈。ネパールはちょうど、この二つの山脈の間にあるのだ。
マハーバーラタ山脈の緩やかな尾根を越えると、世界が変わった。
だだっ広く遠近感のない平野から一転、一気に地面が立体感を持った。
日本の山にも似た緑深い山々の懐に抱かれるようにして、畑や家並みが広がっている。尾根伝いには道と民家があり、段々畑がいくつも見えた。
山間に息づく素朴な国。
これがネパールか、と妙に感じ入ったのを覚えている。
トリブヴァン空港にて
機体はどんどん降下して、カトマンズの街並みが見えてきた。景色に見入っているうちに、飛行機はトリブヴァン空港に着陸。
トリブヴァン空港は小ぢんまりとしていて、国際空港というより地方の空港のようだった。良く晴れているけど空気はかすんでおり、遠目にうっすらとヒマラヤが見える。しかし飛行機の窓からの景色と比べると、かなり輪郭は曖昧だった。遠いのと、大気汚染のせいもあるのかもしれない。
滑走路わきではガルーダらしき像が歓迎してくれた。銅鉢に入ったお供えの花といい、すでに濃厚なネパール感!!
さて、
ネパールへの入国にはビザが必要で、到着後に現地で取得することもできる。
入国審査の手前にはビザ取得のカウンターと機械があり、今ではオンラインで事前に申請し、現地で発行してもらう方法もある。
今回は大使館でビザを取得していたので”foreigners with visa”のカウンターに並び、すんなり外に出ることができた。
こちらは荷物の受け取り場所。やっぱり小ぢんまり感がある。
到着ロビーを出るや否や、待ち構えていたかのようにタクシーの客引きが始まった。
空港を出たらガイドさんと合流するはずだったが、空港の出口には彼ら以外に誰もおらず、空港出口お約束の、紙を持ったガイドさんたちの姿はない。
運ちゃんたちのアグレッシブさと合わせてここで急激に不安になったが、よく見てみると、出迎えの方々は建物の外、道路の向こうに集まっていた。
焦ったー。
(右が空港、左が合流ポイント)
西遊ネパールの文字はすぐに見つかり、無事ガイドさんと合流できた。
ネパールは想像していたよりずいぶんと暖かかった。勿論日中だからなのだと思うが、ジャケットを着ていると暑いほどで、防寒に気を遣って荷造りしてきたのに拍子抜けする。
そして土埃のせいか大気汚染のためか、ちょっと空気がイガイガした。
ネパール・ショッキング
送迎車に乗り込み、最初の目的地であるボダナートへ。
空港から市内に移動する車なり電車なりから見る景色は、その国について端的に教えてくれて面白い。
中国なら規格化された集合住宅、トルコなら立ち並ぶミナレット、マレーシアならヒジャブをまとう女性モデルの看板や近未来的イスラーム建築だったりが「ここはこんな国ですよ」と語ってくれる。
ではネパールはというと、車窓の景色を見ながら、正直私はひるんでいた。
今まで旅してきた国の中でも、ネパールはとりわけ「ごちゃっとした」雰囲気があった。高層建築は見当たらず、信号はないため車道はかなり混みあっており、バイクや派手なトラック、乗客を満載したバスが土埃を舞い上げながら行き交っている。道路には舗装が甘い箇所も多く、車は揺れる。
豊かではないのだなと思う一方、せわしない街の様子にがむしゃらな生命力をも感じた。
ここに取り残されるのか?という不安と、冒険するぞ!というフロンティアスピリットがないまぜになった思いで車窓を眺めていた。
道中、ガイドさんは色々な話を聞かせてくれた。
まず、ネパールには小さな国土に100以上もの民族が住んでいること。(あんだけデカい中国の2倍…!?)
宗教はヒンドゥー教が80%、仏教が10%、あとはキリスト教徒かイスラーム。仏教とヒンドゥー教の境界線は曖昧で、日本の仏教と神道のように習合が進んでいるようだ。インドと違ってネパールのヒンドゥーは寛容だから宗教対立はないのだとか。
2015年の地震についてもうかがった。
地震の爪痕はまだ残っており、工事中の場所が多いのはそのためなのだそうだ。確かに道中では壊れたままの寺院や、道路の脇に工事用の資材が山のように積まれているのを見かけた。
赤茶けた街を通り過ぎ、車は一路ボダナートへ。