壺中天

歴史、旅行、ごはん、ゲームなどアジアなことを色々つづります。

二次創作漫画「空想印度」

久々に漫画を描きました。
テーマはインドです。
徐光啓と言えば数学、数学と言えばインド…ということで
玄奘鄭和マテオ・リッチのインド渡航経験者を中心に物語を作りました。

【ちょっとした解説】
(1)漢字国名
本作で使用している国名の漢字当て字は、マテオ・リッチが作成した世界地図「坤輿万国全図」に使用されているものを使っています(「印度」以外)。考証的にもそうだけど、響きや字面の違和感、当時の明の人たちも感じていたであろうちょっと不思議な感覚を味わえるかなぁと。

(2)中国の数学(p.1)
宋・元の頃まで中国の数学は高い水準にあったが、朱元璋が明初に数学を禁止して一度衰退。明末になると程大位や徐光啓、皇族の朱載堉などの研究者が出て数学がまた盛んになったそうです。とはいえマテオ・リッチによると中国の数学研究には論理的思考法が欠如しており、だからこそ幾何学原論の翻訳が重要視されていたそうな。

(3)数学の系譜(p.2)
上からエウクレイデス、フワーリズミー、クラヴィウスです。クラヴィウスはマテオ・リッチの恩師で、リッチと徐光啓が翻訳した幾何学原論の底本はクラヴィウスが注を付したものでした。

(4)神への挑戦(p.2)
ゼロや負数(−)の概念は神を前提とするキリスト教的世界観とは相容れぬものとされ、西欧世界では受け入れるのに時間がかかったらしい。17世紀ごろまではゼロに言及すると死罪だったとか!なので、リッチが0%と言えるのは明にいるからであり彼が異文化に柔軟だからなのです…ということにしておく。

最初はゼロ=悪魔の数字=聖職者が口にするにはふさわしくない、と言うネタも盛り込むつもりだったのですが、テンポが悪くなったので割愛しました。キリスト教徒×ゼロって結構面白い題材なんですけどね。

(5)マンダラ(p.3)
インドの神秘図形は色々あって、正確には右の図形はヤントラでマンダラではない…らしいんですが同一視されてることもあるし、外国人から見たら区別がついてないってことにして、そのままマンダラで通しました。マンダラは仏教の世界観を描いたもので写実的、ヤントラはヒンドゥー教の神秘図形で抽象的?という違いがあるらしい?

(6)絹の道(p.5)
10世紀頃から海のシルクロードが主流になって陸のシルクロードは衰退したと思っていたんですがシャッテリがいるしどうなんでしょう。元の大都は草原、オアシス、海の3つの道の結び目だったというので主役ではないけど生き続けてはいたんでしょうかね。シャッテリ、唐代あたりのソグド人って見た目してますけど何者なんでしょうね。

展昭と白玉堂は最初ただのモブ捕り手だったのですが、せっかくだし顔アリ・普段あまり描かないキャラを描こうと思って出したのですが…
イケメンキャラなんてもう描いてたまるものかって気分になりました。
袁可立推してると逃れられない宿命なんですけどね。セットで描く義務はないけども…