壺中天

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【水都百景録】二次漫画「La casa indemoniata」②(利瑪竇・徐光啓)

神父科学者×悪魔の家、な元ハロウィン漫画第2回です。ハロウィンとっくに過ぎてますが、今回は家が重要な存在⇒背景作画が命な所あるので、もう開き直ってじっくり描きます。夜の風景をちょっと頑張ったので、見てみていただけたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

⇒つづく。

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【解説】(気になる方だけどうぞ)

《町と建物》

北京の風景は山西省の平遥をモデルにしています。昔ながらの城壁と街並みが残る場所で、中では時間の流れが外とは違うと感じるほど、風情のある街です。「悪魔の家」のモデルは平遥郊外にある王家大院(山西商人の大邸宅)。山西旅行がなければ、この作品は描けなかったと思います。

《P.7》

徐光啓のサボり癖についてはゲーム本編の紹介文を参照。誇り高い過失です。

《P.11》

徐光啓の銃

 彼は富国強兵を唱え軍事改革を進め、大砲・銃を装備した砲兵部隊の設立を目指した。彼自身が火器を扱えたかは不明だが、西洋渡来の「紅衣砲」を利用して後金の北京包囲を退けたことはある。

 また、明代中国には鳥銃という火縄銃があり、彼の持っている銃はそれをイメージ(資料の関係上形はフリントロック式の西洋銃ですが)。遠距離武器だし熟練した射手でも発射に20秒はかかるので、このシチュエーションだとあんまり実用性はなさそうですね…。でもまあ、見栄え優先。

 なお戦乱の世で実用性が高められた日本の火縄銃は明のものより性能が良かったようで、徐光啓は論文「海防迂説」で火縄銃の制作は日本に学ぶべきと言っていたりする。

イエズス会

 どんな集団だよと思われたかと思いますが、イエズス会は従来の修道会と異なり軍隊的な厳しい規律を会員に課していた特徴があります(創設者のロヨラが元軍人だったことが関係)。入会後にも厳しい審査が行われ、相応しくないとされた者は容赦なく弾かれたという。イエズス会厳選された人材が集うエリート集団なのです。

 ちなみにリッチ先生の背中の模様、建物はローマのジェズ教会(イエズス会本拠地)、「Ad majorem Dei gloriam(より大いなる天主の栄光のために)」はイエズス会の標語。IHSはイエズス会のマーク。イエズス会ハッピーセットです。

《p.13》

・利先生

 なんと、ゲームでは徐氏がリッチ先生を何と呼んでいるかわからぬのです。いや、一人称すら分からず推測で描いているんですけど。

 墓碑銘をはじめ中国の資料ではよく「利先生」と呼ばれているので、この呼び名を採用しています。中国の慣習的に名前で呼ぶはずはないし、他の人たちの呼称を見るに中国語だと「老利」とか「利兄」になるのでしょうか?でもうちの利徐コンビは教師と生徒っぽさを強調しているのでやっぱり「利先生」がいいなぁ。(中国語の先生はteacherではないけど)