壺中天

歴史、旅行、ごはん、ゲームなどアジアなことを色々つづります。

お散歩日記12/28(月島・築地)


年末年始の休みに入ったので、昨日は久々にお出かけしてきた。
月島でもんじゃを食べたのち、隅田川沿いをうろつき、築地を通って東銀座で解散という日程。旅行記みたいにあまり面白い展開はないけど、面白いものは色々見つけたので日記として書いておく。

隅田川さんぽ

月島は思ったより人がいなかった印象。年末だけど人がいない、という話は身近でよく聞くので、帰省や旅行に出かける人が増えたのかもしれない。

行きの大江戸線の中でも大きなスーツケースを持った人を見かけた。羽田行きモノレール駅に近い大門まで行くんだろうな。

もんじゃを食べて、そのあとこの辺に住んでる友人の案内で本願寺別院のカフェを覗いてみたけど、席が空いていなかったのでいったん離れ、散歩してから様子見しようということになり川沿いに向かった。

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新月陸橋下の信号を渡り、佃島の方に歩いていく。この辺りには逆L字型の水路(佃川支流)があり、その周辺に神社や公園が点在している。

一帯には下町らしい江戸情緒を感じさせる施設が多い。かつて渡し場のあった付近には、白い壁と瓦屋根の灯台があり、隣の水門も造りこそ現代的だが「住吉水門」の文字は勘亭流風の渋いフォントだ。

水門からは小川が伸びていて、金色の柳の葉が揺れていた。今回改めて調べてみたけど、これは埋め立てられた佃川の支流(佃川支川)で、隅田川との合流地点に作られたのがこの住吉水門。役割は増水時に隅田川流入を防ぎ、街と住民を守ること。

隅田川沿いは低地なので、流域を堤防と水門で守っているのだそう。確かに、改めて見てみると勝どき~築地辺りは水門が目立つ。これまであまり気にしたことなかったけど、やっぱりちゃんと知ると面白いな。

これが佃川支川。水面を覗いてみると水は意外と澄んでいて深いところまで見通せた。漁船らしき船も停泊していたけど、何を獲るんだろうか。佃煮関係?

年末情緒ただよう住吉神社

佃煮店や日本家屋の並ぶ街並みを見ながら歩いていると、川沿いに、ひときわ目立つ真っ赤な大鳥居を見つけた。奥には住宅に囲まれた参道があり、正面には白い石造りの綺麗な鳥居と銅葺きの本堂が見えていた。

この住吉神社は、海や航海安全の神・住吉三神を祀るお社だ。帰宅後に神社のHPを読んだら、同じ住吉三神を祀る大阪・佃の田蓑神社徳川家康に縁があった関係で、江戸に分霊して建てられた神社なのだそう。

江戸にやってきた佃の住民が埋立地を幕府から拝領して佃島と名付け、住吉神社を築いたというので、つまりここは佃島」という場所のルーツに関わるとても大事な場所ということか。

ずっと東京で暮らしてたのに全然知らなかったな…。マカオ郷土史記事書き始めてから、こういう話全般に興味を持つようになってきた気がする。

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鳥居をくぐると、境内の一角から煙がもうもうと上がっているのが目についた。何だろうと思ったらお焚き上げをやっていた。

中にはしめ縄やお守りなどが投げ込まれている。近所に大きめの神社はいくつかあるけど、こういうやり方はしないので現場は初めて見る。おかげで境内は結構煙たく、でもそれも含めて年末年始の和の情緒を感じて好きな空間だった。

本堂脇にある神輿倉庫も面白い!明治時代のものらしいけど、関東大震災にも東京大空襲にも耐えて生き残ったのか…と思うと存在の重みを感じる。

ちょうどいいので、住吉さんにマレーシア旅行の無事をお祈りした。小さな神社だったけど、面白いものに色々出会えて楽しい所だった。
www.sumiyoshijinja.or.jp
細かい見所が色々あったので、今度はじっくり見に来よう。

お気に入りの中央大橋

住吉界隈を通り過ぎると、雰囲気がガラッと変わる。下町情緒あふれるレトロな住宅街から一転、美観的に計画されたガーデンシティ――早い話がタワマンとその城下町になる。

月島~勝どき周辺には本当にタワマンが多くて、そんなに住む奴いるんかいな!って不思議になるくらい。あまり住民の気配はなく、川沿いのプロムナードは静かなものだ。空が広くて、静かで居心地がいい。

もう冬真っ盛りだけど、ツバキとサザンカのほか小さな柿の実や南天など木々には存外彩りがあった。鳥も多くて、ハトやヒヨドリは勿論ムクドリオナガなど、都心だとちょっとレアな面子もいる。

散歩の終点は中央大橋。昔から大好きな橋だ。

こういうケーブルがぶわっとなってる橋、かっこよくて好きで。(プトラジャヤのワワサン橋とか)

スタイリッシュで無機的な近未来感、空間の広さ(空、水面、道路幅すべて含めて)と合わせて非日常を感じさせてくれる素敵な場所だと思う。

中央大橋は、橋の東側から見る永代橋スカイツリーの組み合わせも有名。これは数年前に撮影したものだけど。

日常に潜む…

そこからはUターンして月島に戻ったんだけど……通りすがりに、今回一番気に入った「佃天台地蔵尊を見つけた。

まず行く手に旗と門が見えてきて、道路沿いにお堂があるんだろうと思っていたらそこにあったのはなんと細い路地の入口。そして、薄暗い小路の奥にうっすら点る灯籠の光…。

うわーこれはアレだ!大好物の「日常に潜む非日常」または「路地裏ダンジョン」系スポット!!

この狭い路地、本当にたまらない…

これが地蔵尊のお堂。手前には小さな手水鉢や(やたら紙質のいい)パンフレットもあり設備はしっかりしている。本尊の地蔵尊は人型の像ではなく、石板に地蔵尊の画像が線刻されたちょっと珍しいタイプ。

お堂の入り口にあった説明によると、江戸時代の18世紀、地蔵菩薩を篤く信仰していた寛永寺法親王が浄名院を建立、のちに院の住職・妙運和尚が法親王の描いた絵をもとに建立した地蔵尊の一つであるらしい。

左にあるのがくだんの地蔵尊。諸願成就や子どもを守ってくれる、などのご利益があるそう。しかしそれより、右奥にある正体不明の小さな石のお社と、左奥に柵で囲まれた一角が気になった。

とくに後者は中に何もなくここに柵がある理由も分からず、地蔵尊本体より意味深な感じを覚えて気になる空間だった。

さらに佃地蔵尊にはもうひとつ面白いポイントがあり、それがこの銀杏の樹。古い一戸建てが並ぶ住宅地の中の、薄暗く狭い路地の中の、小さなお堂の中に大樹が囲い込まれてる……っていうシチュエーションがもう不思議すぎて!

何でこういうことになってるんだろうな。

お堂を出ると、頭上にたくましい木の枝が見える。樹齢400年の大銀杏だそうだ。

勝鬨橋と燃える空

その後は月島のカフェで一休みし、勝鬨橋を渡って築地をうろうろして東銀座で解散。この辺は特に詳しく書くこともなく。

ただ、勝鬨橋から見た日没の空が印象的だった。鮮やかな夕焼けの上にぶ厚い雲が覆いかぶさっていて、街が燃えてるみたいに見える。こんなの初めて見た。

こちらは築地の波除神社。大分暗くなってきたけど、それでも夕焼けの残光が鮮やかだった。

最後に

こうやって気ままに散歩しながら写真撮影するのも、国内だと結構久々だけどやっぱり楽しかった。今回は人と一緒で、自分のニッチな趣味を理解してくれる相手とはいえ待たせちゃ悪い!と撮影はあっさり済ませたので、今度は一人でまた来ようかなと思ってる。

何処に行っても、やっぱり昭和レトロ系の下町や路地裏に惹かれるらしい…

冬は寒いけど空気がきりっとしてて、歩いてるとスッキリするからそれも悪くないなと思う。夏はただしんどいだけ…と思ったら、もうすぐ常夏のマレーシアで歩き回ってくるんだった。31から出発なので、これが1年最後の記事になるかな。

お読みくださった皆様ありがとうございました。よいお年をお過ごしください。