壺中天

歴史、旅行、ごはん、ゲームなどアジアなことを色々つづります。

【水都百景録】水都とドラマ「新白娘子伝奇」

小青の財務能力が高い理由が明らかに!!中国・台湾テレビ局のyoutube公式チャンネルが昔のドラマを公開してくれているので、最近は色々見ている。なかでも気に入っているのが1992年の台湾ドラマ「新白娘子伝奇」。白素貞のビジュアルが水都そっくりで目に留まったのがきっかけなんだけど、中国の通販サイトで白素貞と検索したら出て来たコスチュームも同じ髪型・衣装が多いので、「白蛇伝」のイメージを作り上げた作品と言えそうだ。

新白娘子傳奇 第01集 The Legend of the White Snake EP01 (1992) - YouTube

あまり興味ない恋愛物だし、楽しく見れるかな?と思っていたらいい意味で期待を裏切られた。主役の二人はさっさと結ばれてしまい、あとはマッチポンプで儲ける悪徳道士と戦ったり、許宣を陥れようとする薬屋組合の陰謀を暴いたり、夫婦(+小青)の周囲で起こる事件を解決するのが話の主題になっていく。

そして仙女の白素貞が主役なだけあって、法術バトルありアクションあり、ミュージカル仕立てのシーンもあり、エンターテイメント要素が多くて見ていて飽きない。ひらひら衣装を翻しながら戦う姿にしびれる!

何より白素貞が本当に美しい。容姿もそうだけど、どこまでも優しくて健気なところとか、古典劇っぽい優雅なしぐさとか、そういう立ち振る舞いもひっくるめて存在自体が美しい。女神様。

 

そんなこんなで楽しく見ていたのだが……若干モチベーションが落ちてきてしまった。

問題は許宣(ドラマでは許仙)である。

許仙はとても善良で純粋、理想主義的な青年である。医者になりたいのも人を救いたいだけ、お金はいらない!例えば彼は流刑先の蘇州で薬屋を開業し繁盛させる。それを妬んだ商売敵に陥れられそうになっても「自分がこの町に来たのが悪いんだ」で済ませてしまう。

だからこそ、すぐに騙され狙われる。基本そんな許宣のピンチを素貞が救うという展開になるのだが、優柔不断な許仙の尻ぬぐいになんで素貞がここまでするの?とモヤモヤするときも……要するに許仙のやつ、劉備宋江三蔵法師などに代表される古典中国的駄目男人公なのである(そして私は宋江にイラつくあまり水滸伝を挫折した人間である)。

しかも魔除けの節句端午節で具合が悪そうな素貞に雄黄酒(これも魔除け)を飲ませたり、あんなに愛していたはずなのに素貞が妖怪だと言われればあっさり信じて彼女を拒絶しだしたり、なかなかヒドイ行動に出ることもあり。

作劇上の都合でしょ?神の視点で見てるからでしょ?と理性ではわかっているが、それでもイラっとくるもんはくる。というより、そんな許仙に尽くし続ける素貞を見てるのがちょっと辛い。

思ったのが、白素貞は女版孫悟空みたいだなと。

長く修業を積んだ神仙で、神々に顏がきいて、法力も武術もお手の物。そして主人にはどこまでも献身的で一途、ピンチには駆けつけその身を犠牲にしてでも奮闘する。かと思えば、たまに主人のせいで理不尽な目に遭う。

 

そういう時には「あいつ甘ちゃんすぎるのよ!」とか「姉さん、あんな男に尽くす必要ないわよ!」とか、小青ちゃんが気持ちを代弁してくれるので大変うれしい。

ちなみにこのドラマの小青はなかなかヤンチャな子であり、子分の鬼たちとつるんで県庁の金庫破りを働いていたこともあった。例えばこんなことも。

許仙「薬屋開きたいんだけど、資金が足りなくて……」

小青「大丈夫、私に任せて!(県庁から盗ってくるから)」

役人「この銀には県印が押してある!さてはお前が盗んだな!流刑に処す!」

許仙「」

なるほど、水都の小青が財務能力高い理由はこれ……なのか?

そんな金は受け取れない。それでも小青可愛いよ小青。

 

というわけで、水都の白蛇伝トリオの造形にも結構影響を与えている作品ではないかと思う。まだ序盤ではあるしドラマの作り自体は面白いので、ちまちま見続けてはいこうと思う。